貧血女子は今すぐ腸活! 食べた鉄分をうまく使うコツ【分子栄養アドバイザーによる大人のイキイキ腸活通信vol22】

 最も不足しやすい栄養素の一つは、鉄です。日本では、月経のある女性の半数が貧血。男性でも、疲労感が強い方や便が緩い方、気分が落ち込みやすい方などで、鉄の不足がよく見られます。

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鉄が不足すると、次のような不調が出やすい

  • 疲れやすい、立ちくらみ、頭痛
  • 爪が薄く剝がれる、爪が変形している
  • 吹き出物やしみなどの、肌トラブル
  • 集中力の低下、やる気の低下、記憶力の低下

そもそもなぜ、鉄不足で不調が出るのかというと、鉄が、エネルギー産生・抗酸化・健康な肌・神経伝達物質の産生などに必須だからです。不足するとこれらの仕事に支障が出るので、不調や老化に繋がるわけです。

もしあなたが、元気な毎日に必須の鉄を、しっかり体に満たしておきたいと思うなら、鉄を十分に摂取することと併せて、腸内環境を良くしておく必要があります。口から摂取した鉄を、「体内で使える」かどうかに、腸内環境が大いに影響しているからです。

余った鉄は、腸内悪性菌を増殖させる

鉄は、カンジダ菌などにとっても栄養になります。腸内環境が悪い場合、鉄は腸内で悪性菌に利用され、腸内環境をさらに悪くしてしまいます。特にサプリメントなどで鉄を多く摂取する場合は、腸内環境が悪くならないよう、いつも以上に気を付けて下さい。

腸内細菌は、鉄の吸収を助けてくれる

東京工科大学の研究チームは、腸内細菌(大腸菌、酪酸菌、乳酸菌、ビフィズス菌)が、腸内のような酸素のない条件で3価の鉄を2価の鉄に還元し、鉄の吸収を助けることを明らかにしました(日本農芸化学会,2013 )。

実は、腸内良性菌が吸収(や利用)を促進してくれるのは鉄に限ったことではありません。セレンなどの他ミネラル(Food Chem. 2020 Jul 30;319:126537. )や、イソフラボンなどのフィトケミカルにおいても同様ですから、全く同じ食事を摂ったとしても、栄養状態は腸の状態に左右されます。

健康診断で「貧血」と言われなければ大丈夫?

血液検査におけるヘモグロビンの値が、成人男性で13g/dL 以下、成人女性で12g/dL 以下だと、貧血と診断されます。

しかし、ヘモグロビン値が十分であっても、貧血が隠れている場合があります。隠れ貧血の人は、貯蔵鉄が少なく、通常の貧血と同じように不調も出ます。通常の健康診断では、隠れ貧血を見つけるために必要な貯蔵鉄の値までは測らないので、A判定であっても、隠れ貧血の可能性は大いにあります。

前述した鉄不足っぽい不調がないかチェックしてみてください。ちなみに、栄養療法ではフェリチン(貯蔵鉄)の値は、少なくとも20ng/mL 以上を目指します。

この記事を書いた人

table project代表 分子栄養アドバイザー 
夏木彩早 
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九州大学卒業。臨床分子栄養医学研究会認定指導カウンセラー。長年のニキビや腸過敏で悩み、健康食を研究しまくった末、分子栄養学に出会う。「体調不良に邪魔されず、自分らしく生きる人」を増やすべく、2018年に起業。延べ500名に、科学的な健康食を伝えてきた。現在は、分子栄養学をベースに考案した「個人差食事メソッド」を使い、不調に悩む女性や、専門家向けの講座を運営。天神ホリスティックビューティークリニックでの栄養指導等もおこなっている。