同じものでも、食べる時間で効果が変わる?!【分子栄養アドバイザーによる大人のイキイキ腸活通信vol17】

目覚まし時計をかけず、遮光カーテンをしっかり閉めた真っ暗な部屋で寝たとして、あなたは何時くらいに目が覚めそうですか?朝を知らせるものは何もないはずなのに、大体いつもと同じくらいの時間に目が覚めるのではないでしょうか。

この仕組みを体内時計と言います。(いつもと全然違う時間に起きてしまう場合は、体内時計が狂っていそうです。)体内時計は小学生の理科で習った覚えがありますが、実は2017 年のノーベル生理学・医学賞を体内時計に関する研究が受賞していたりと、今ホットな分野なんです。

正常な体内時計は、健康や美容に必須

体内時計の異常は、認知機能、肥満、うつ、免疫機能、糖尿病などの病気と関係があります。つまり、元気で綺麗でいたければ、体内時計は正常にしておきたいところ。

体内時計の制御に関わっているのは、①遺伝子、②光、③食事です。生まれもった遺伝子はどうしようもないので、私たちにできることは②光と③食事。

②光については、朝は明るい光を浴びて、夕方以降は明るい光は避け、暖色系の暗めの光で過ごせば良いです。私のスマホ画面は、夜になったら自動的に暖色系に暗めになるよう設定しています。

食事はどうする?

基本は、毎日決まった時間に食べる、そして朝や昼(活動時間)の比重を多くして、夜(非活動時間)の比重を少なくするのが間違いなさそうです。

この分野では、シフトワーカーを対象にした研究をよく見かけますが、生活時間がバラバラなのは、健康や美容において、残念ながら不都合な点ばかりです。ですから、できる範囲でいいので、食事時間や光を浴びる時間を、規則的にされることをお勧めします。

朝の食物繊維は金メダル!

実は、腸内細菌の働きにも、体内時計が関わっています。食物繊維は、ビフィズス菌(など腸内良性菌)の餌になることで、腸を元気にしてくれます。

ですから積極的に摂りたい栄養素の一つですが、せっかく摂るなら特に「朝に」摂るのが、良さそうです。マウス実験で、活動期間の早い時間(人間なら朝)に水溶性食物繊維を摂取した場合の方が、遅い時間に摂取した場合よりも、腸内環境の改善効果が高かったという報告があるからです(Nutrients. 2019 Nov; 11(11): 2802. )。

ちなみにこの実験では、朝夜どちらの時間帯に摂取した場合でも、腸内環境改善自体は見られました。具体的には、盲腸内pH の低下、短鎖脂肪酸の増加、Bacteroidetes (肥満の方の腸内に少ない菌)の増加、Firmicutes (肥満の方の腸内に多い菌)の減少です。ただし、この変動の大きさは、朝の方が大きかったそうです。

人間においてどこまで影響があるのかという点が、更なる研究で明らかになることを楽しみに待ちつつ、とりあえず、食物繊維は朝に積極的に摂っておくのが良いだろう、というのが私の考えです。繊維に限らず、食事の比重は、夜よりも、朝や昼に持ってきた方がいいのは間違いなさそうですしね。


繊維たっぷりの朝食として、玉ねぎと豆腐とわかめとゴボウのお味噌汁+雑穀ご飯+納豆などどうでしょう。これに、卵や魚などの動物性タンパク質も追加できると、更にバランスが良くなりますよ。

この記事を書いた人

table project代表 分子栄養アドバイザー 
夏木彩早 
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九州大学卒業。臨床分子栄養医学研究会認定指導カウンセラー。長年のニキビや腸過敏で悩み、健康食を研究しまくった末、分子栄養学に出会う。「体調不良に邪魔されず、自分らしく生きる人」を増やすべく、2018年に起業。延べ500名に、科学的な健康食を伝えてきた。現在は、分子栄養学をベースに考案した「個人差食事メソッド」を使い、不調に悩む女性や、専門家向けの講座を運営。天神ホリスティックビューティークリニックでの栄養指導等もおこなっている。