腸に穴が開く!?リーキーガットとカンジダ菌【分子栄養アドバイザーによる大人のイキイキ腸活通信vol14】
先日、台所を掃除しました。排水溝って、掃除を少しさぼると、すぐヌルヌルしますよね。あのヌルヌルは、微生物が自分たちの棲みやすい家として作ったものなんです。
だから、微生物にとっては天国! 私たち人間にとっては有害ですが。実は、この有害ヌルヌル天国は、私たちの腸の中でも、作られることがあります。
作るのは、酵母の一種であるカンジダ菌(カンジダ・アルビカンス)です。きっと、既にあなたの体の中にも、カンジダ菌は存在しているでしょう。
女性の七割が、一度は膣カンジダに感染するという報告もあるほど、身近な菌です。とは言え、普通に存在すること自体には、何の問題もありません。
問題なのは、大量に増殖した時。仲間同士で協力して、あの有害ヌルヌル天国(バイオフィルム)を作り始めます。そしてこの段階になると、健康に悪影響を及ぼします。
カンジダ菌が有害な理由の一つは、腸に穴をあけるから。普段のカンジダ菌は、卵形(酵母型)なのですが、仲間が増え、バイオフィルムを作る時に、糸を伸ばします(菌糸型に変身)。
そしてこの糸を、腸粘膜にぐさっと挿し込むことで、穴をあけます。この腸に穴のあいた状態を、リーキーガットと呼びます。訳すと、「腸漏れ」です。では、腸漏れ状態になると、どうなるでしょう?
腸に炎症が起こるので、腸の仕事に支障が出ます。具体的には、消化不良(膨満感、便秘や下痢)、吸収不良、免疫機能も狂ってしまう。
開いた穴から本来入ってはいけない異物が、体内(血中)に入ってきやすくなるので、解毒担当の肝臓にも、多くの負担が掛かります。
リーキーガットは、老化、自己免疫疾患、代謝障害、腸疾患、がん、神経炎症性疾患の原因になり得る、とするものもあります(F1000Res. 2020 Jan 31;9:F1000 Faculty Rev-69. )。
カンジダ菌は、悪性菌の繁殖をどんどん促すという点でも、有害です。カンジダ菌にとって、酸性の腸内は生き辛い環境。ですから、アンモニアを出すことで、周囲をアルカリ化し、生きやすい環境を自ら作っています(Virulence. 2013 Feb 15;4(2):119-28.) 。
快適な住環境が整うので、さらにカンジダ菌は増殖しますし、この少しアルカリ性に傾いた環境は、別の悪性菌にとっても快適。一方、良性菌は弱酸性を好みますので、アルカリに一度傾いてしまうと、腸内環境は悪くなる一方ですね。
では、どうやったらカンジダの増殖防げるか?カンジダが増えるきっかけは、カンジダの餌(糖質)の過剰摂取・抗生物質の服用・便秘などによる腸のアルカリ化・ストレスなので、それらを予防すること。また、既にいるカンジダ菌を、抗菌性の食材で、除菌することも出来ます。
日常的に取り入れやすいのは、抗菌ハーブ(オレガノ、ローズマリー、クローブ、シナモンなど)と、ココナッツオイル。ハーブは、お肉や魚に塩と一緒にまぶして焼くとか、スパイスカレーやハーブティーで。
ただ、腸の中のヌルヌル除去は、歯ブラシとかでこするわけにもいかないので、正直大変です。排水溝のお掃除はさぼったとしても(笑)、腸は正常に保つのが一番です♩
この記事を書いた人
table project代表 分子栄養アドバイザー
夏木彩早 (公式ラインはこちら>>)
九州大学卒業。臨床分子栄養医学研究会認定指導カウンセラー。長年のニキビや腸過敏で悩み、健康食を研究しまくった末、分子栄養学に出会う。「体調不良に邪魔されず、自分らしく生きる人」を増やすべく、2018年に起業。延べ500名に、科学的な健康食を伝えてきた。現在は、分子栄養学をベースに考案した「個人差食事メソッド」を使い、不調に悩む女性や、専門家向けの講座を運営。天神ホリスティックビューティークリニックでの栄養指導等もおこなっている。