「自分の腸細胞」と「腸内細菌」の両方を、元気にしよう【分子栄養アドバイザーによる大人のイキイキ腸活通信vol13】

「腸に良い」食べものや生活習慣を、知っていますか?
では反対に、「腸に悪い」食べものや生活習慣は? あなたなら、複数思い付いたのではないでしょうか。

ではそれらを一度、整理してみましょう。
腸にとっての「良い/悪い」を考えるときには、2つの要素に分けると、捉えやすいです。2つの要素とは、①腸と、②腸内細菌。①腸は、あなた自身の細胞です。一方、②腸内細菌は、ヒトとは違う遺伝子をもった、別の生命体です。

このように分けて考えると、腸を元気にするためのアプローチ法も、次の2つに分けられます。①あなた自身の腸を正常に働かせる方法、②腸内細菌のバランスを良くする方法、の2つです。


それぞれ具体的にどのような方法があるか、ご紹介しますね。ちなみに、食物繊維の摂取は、①②の両方に、良い影響を与えます。

①腸を正常に働かせるために出来ること

・腸を動かす(正常な蠕動運動を促す)ために水分や食事を十分に摂る、食物繊維の摂取(特に不溶性の繊維は、便のかさを増やすことで、内側から腸を刺激し、排便を促す)、下半身の筋肉を付ける、運動、姿勢を整える(物理的に腸を圧迫しない)など。

・腸粘膜を正常に保つために腸粘膜の材料や、新陳代謝を促す栄養の摂取(タンパク質、亜鉛、ビタミンA、ビタミンCなど)、腸細胞に穴をあける物質(小麦に含まれるグルテンや、乳に含まれるカゼインなど)の摂取を減らす、粘液を保つため、食物繊維の摂取など。


※繊維の摂取が不足すると、腸内細菌が粘液を食べてしまい、その結果、腸の炎症に繋がる可能性がある(Cell Host Microbe. 2018 Jan 10;23(1):27-40.e7.) 。

②腸内細菌のバランスを良くするために、出来ること

・良性菌を増やすために良性菌(乳酸菌やビフィズス菌など)を摂る、良性菌の餌(食物繊維やオリゴ糖など)を摂るなど。

・細菌バランスを悪化させる次のものを、避ける高脂質食(Clin Nutr. 2019 Dec;38(6):2504-2520. )、
連続的な抗生物質の使用(Nat Commun. 2015 Feb 23;6:6238.) 、ストレス(Front Cell Neurosci.2015;9:392.)など。

もちろん、ここでご紹介したこと全てを、ストイックに実行する必要はありませんので、ご安心を! ただ、腸に負担を掛ける時には、積極的に腸のケアをしてあげてくださいね!(例えば、「必要な」抗生物質を飲まない、ではなく、抗生物質を飲むときは、普段以上に腸ケアをしよう。ストレスを完全ゼロに、ではなく、ストレス多いときには、食事などで意識的に腸ケアしよう、ということです。)

この記事を書いた人

table project代表 分子栄養アドバイザー 
夏木彩早 
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九州大学卒業。臨床分子栄養医学研究会認定指導カウンセラー。長年のニキビや腸過敏で悩み、健康食を研究しまくった末、分子栄養学に出会う。「体調不良に邪魔されず、自分らしく生きる人」を増やすべく、2018年に起業。延べ500名に、科学的な健康食を伝えてきた。現在は、分子栄養学をベースに考案した「個人差食事メソッド」を使い、不調に悩む女性や、専門家向けの講座を運営。天神ホリスティックビューティークリニックでの栄養指導等もおこなっている。