生きているだけで、腸の機能は落ちていく!【分子栄養アドバイザーによる大人のイキイキ腸活通信vol12】

私たちは、腸の中に、沢山の細菌たちを棲まわせています。そしてその対価として、私たちの健康を守ってもらっています。

しかし、何らかの原因で、これらの菌の「数」が減ったり、「種類」が減ったり、バランスが崩れたりすると、腸は正常に働けなくなります。そして、この腸の異常は、便通の異常(腸便秘や下痢など)はもちろん、体の他の部分にまで悪影響を及ぼします。


なぜ他の部分にまで影響がいくか。そもそも人体は、歯車で動く機械のように、様々な臓器や神経が影響し合い、全体でうまく回っているようなもの。だから、一部分の異常が、他のところにまで影響してしまうのです。

しかも、「腸」は、体の中でも、かなり重要なパーツ(免疫や、栄養の吸収や、不要物の排泄という、命の根源に関わる部分)なので、全体に及ぼすインパクトも、とても大きなものになります。ですから、腸内フローラ(腸内細菌たち)のバランスを良い状態に保つことや、腸機能の維持は、体にとって、とても重要です。

では、腸内フローラの乱れや、腸機能の低下は、何によって起こると思います?


答えは、食の乱れ、運動不足、ストレス、抗生物質、加齢などです。

加齢!?そう、悲しいかな、何も気にしなければ生きているだけで、腸内細菌のバランスは悪くなるし、腸機能は落ちていくものなのです……。このことを示す報告を、3つご紹介しましょう。

【加齢に伴い、結腸における消化物の滞留時間が増加し、これが便秘や膨満感を引き起こす。】

Proceedings of the Nutrition Society, Feb 2013; 72(1) , pp. 173-177

【0〜104歳の健康な日本人367人の糞便を調査。その結果、加齢に伴い、ビフィズス菌は減少した。年代により、腸細菌叢のバランスは異なったが、食生活や抗生物質や居住国の影響も強かった。】※ビフィズス菌は、善玉菌。

BMC Microbiol. 2016 May 25;16:90.

【加齢により、腸内細菌叢の割合の変化、腸内細菌叢による短鎖脂肪酸生成の低下がみられる。これは、不規則な腸運動、虚弱などの加齢関連疾患や、認知機能低下、高血圧、ビタミンD欠乏症、糖尿病、関節炎、サルコペニア、寿命に関係する可能性がある。】

Nutr Healthy Aging. 2018; 4(4): 267–285.

このように、加齢は、腸機能を低下させる一要因。ですが、腸機能に影響を与えるのは、加齢だけではありません! 歳をとることは避けられませんから、その分、他のことで腸機能をアップさせれば良いですね!

特に、腸内細菌に直接的な影響を与えるのは、やっぱり毎日のお食事。食事に含まれる食物繊維やオリゴ糖などは、善玉菌の餌になることで、善玉菌を増やしますし、便を出しやすくしてくれます。

逆に、高脂質食や高タンパク食により、悪玉菌が増えてしまうことも。歳により生じる影響は、食生活でカバーして、楽しく元気に歳を重ねていきたいものですね♪

この記事を書いた人

table project代表 分子栄養アドバイザー 
夏木彩早 
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九州大学卒業。臨床分子栄養医学研究会認定指導カウンセラー。長年のニキビや腸過敏で悩み、健康食を研究しまくった末、分子栄養学に出会う。「体調不良に邪魔されず、自分らしく生きる人」を増やすべく、2018年に起業。延べ500名に、科学的な健康食を伝えてきた。現在は、分子栄養学をベースに考案した「個人差食事メソッド」を使い、不調に悩む女性や、専門家向けの講座を運営。天神ホリスティックビューティークリニックでの栄養指導等もおこなっている。