良性菌と仲良くして風邪もアレルギーもさようなら!【分子栄養アドバイザーによる大人のイキイキ腸活通信vol4】

秋の気配が色濃くなり、朝晩はだいぶ涼しく感じられますね。食欲の秋、スポーツの秋など、自分好みの秋を満喫するためには、風邪なんてひいていられません! 今月は免疫の話を。

腸を制するもの免疫を制す

免疫に関係する細胞や抗体の5割以上が、腸に存在するからです。具体的には、ウイルスと戦う抗体や、パイエル板、リンパ球など。なんと、栄養を吸収する小腸の粘膜や上皮細胞までもが、免疫に関わっています。
 腸が持つ免疫のチカラは、腸管免疫と呼ばれ、体全体の防御を担います(腸で作った免疫グロブリンAが全身を巡るなど。)

 実は、この腸管免疫を、腸内の良性菌がサポートしてくれています。良性菌が産生する、乳酸や酪酸などの「短鎖脂肪酸」が、体全体の免疫機能を整えているのです。

短鎖脂肪酸、すごいヤツです!

 短鎖脂肪酸は、例えば、
・腸上皮のネバネバ成分であるムチンの産生を促すなどして、腸の上皮を正常に保つことで、マウスの大腸炎を緩和したり(Nat Commun. 2015 Apr 1;6:6734.)
・腸における免疫グロブリンA抗体の産生を促進したり(Mucosal Immunol. 2017 Jul;10(4):946-956. )
・免疫B細胞のエネルギー産生を増加させるなどして、B細胞の成長や抗体産生を促したり、(Cell Host Microbe. 2016 Aug 10; 20(2): 202–214.)
・Tレグ細胞の数を増やすことで、過剰な免疫を抑制したりします。(Nature. 2013 Dec 19;504(7480):446-50.)

昨今注目されているのが、Tレグ細胞の働き!


免疫はバランスが命。働きが落ちるとウイルスなどに感染しやすくなるし、過剰だとアレルギーや花粉症などを引き起こします。だから、体の中では、免疫を適度に働かせるために、攻撃系の細胞(T細胞やB細胞)と、それを抑えるTレグ細胞の両方が、一緒に働いています。

短鎖脂肪酸には、このTレグ細胞を増やす働きがあるのです。

つまり、腸内良性菌に短鎖脂肪酸をたっぷり作ってもらうことで、全身の免疫機能が良い具合に高まるというわけですね。

食物繊維やオリゴ糖などの積極的な摂取がお勧め


短鎖脂肪酸は、良性菌が、食物繊維などを分解することで産生しますから、食物繊維やオリゴ糖などの積極的な摂取がお勧めです。

お食事なら、野菜、炭水化物、海藻や豆類を。ちなみに、炭水化物抜きの食生活、高タンパク食や高脂質食などは、腸内環境悪化の原因になるので、ご注意くださいね。

この記事を書いた人

table project代表 分子栄養アドバイザー 
夏木彩早 
公式ラインはこちら>>

九州大学卒業。臨床分子栄養医学研究会認定指導カウンセラー。長年のニキビや腸過敏で悩み、健康食を研究しまくった末、分子栄養学に出会う。「体調不良に邪魔されず、自分らしく生きる人」を増やすべく、2018年に起業。延べ500名に、科学的な健康食を伝えてきた。現在は、分子栄養学をベースに考案した「個人差食事メソッド」を使い、不調に悩む女性や、専門家向けの講座を運営。天神ホリスティックビューティークリニックでの栄養指導等もおこなっている。