ふくおか経済2020年9月号に掲載されました!

こんにちは、福岡県久留米市でニトリル手袋やマスクなど医療関係の輸入・販売を行っているまる優代表の財部(たからべ)です。ふくおか経済9月号にインタビューを掲載頂いたのでご紹介します!

中国から仕入れルート確保、不足時の供給に奔走

まる優 1週間で4000件の受注に対応

新型コロナウイルス の感染拡大により、全国で未曽有の「マスク不足」が叫ばれる中、ヘルスケア商品などの企画開発卸を手掛ける株式会社まる優(久留米市山川追分、財部優次郎社長)は、中国からマスクを仕入れるルートを確保している数少ない企業として、緊急事態宣言下には膨大な数の受注が舞い込んだ。「多いときには1週間で4000件もの受注が入り、私の親戚も含め急遽人手を確保して、ひたすらマスクの梱包と発送に明け暮れた」と当時の繁忙ぶりを振り返る。「マスクの供給には人の命がかかっている。仕入れ先がある以上、今は当社がやらなければならないことだと考えて臨んでいた」と自身に課した使命感を語る。

同社が中国の工場で生産し、現在も販売を続けているのが、3層構造の衛生マスク、不織布の高密度3層フィルターが採用された商品で、ウイルスを含む飛沫カットの効果が期待できる。平素であれば一般的な性能の「不織布マスク」と言えるが、どのようなマスクであっても供給不足が深刻化していた緊急事態宣言の前後、直接契約した中国の工場からマスクを仕入れることができる事業者は極めて貴重だった。「世の中に全くマスクが足りていない中で、価格は瞬く間に高騰し、現場の医師や看護師が直接当社に問い合わせてくることも増えていた。そうした時期に仕入れルートがある企業としては、とにかく目一杯マスクを確保し、医療従事者をはじめとする必要な人たちに届けなければならないと考えていた」と財部社長は当時を思い起こす。50枚3500円という「当時の仕入れ価格から見ると、人件費などを考えるとほとんど利益が出ない」価格で供給を続け、5月1日には一般社団法人久留米医師会に1万枚のマスクを提供するなど、九州・福岡でのマスク供給に奔走した。

コロナ禍以前の同社では衛生マスクの取り扱いはなく、独自に企画・開発した次世代型高機能マスク「エアクリン」が看板商品のひとつだった。世界初の特許技術である臭いを消す特殊繊維を用いており、「人混みのニオイが気になる人などに長く愛用して頂いている商品だった」という。そのマスクの生産先として中国の工場と提携していたが、コロナ禍を経た輸出制限などで高機能マスクの生産が難しくなった。ただ「不織布マスクならば生産が可能」と現地工場から打診を受け、深刻化していたマスク不足の現状も鑑みて衛生マスクの生産に切り替えた。

結果として、緊急事態宣言下に置ける貴重なマスクの供給ルートを確保することとなった。その後、数十万枚単位で納入されるマスクの発送に追われる日々が続いたが、「当社のマスクを購入した医療関係者などからお礼のメールや手紙がたくさん届いた。頑張って良かったと心から思えた」と笑顔で語る。

不足続く医療用ゴム手袋供給へ

大手メーカーのマスク生産への参入などを経て、現在では供給不足は解消され、店頭でマスクを見かける機会も増えた。だが、現在でも著しく供給が滞っているのが、医療用のゴム手袋(ニトリル手袋)だ。「店頭で探してもらえばわかると思うが、以前は普通に購入できたゴム手袋が最近では全く手に入らない。マスクのように一般で多く使われる商品ではないものの、徹底した感染対策が求められる医療や介護の現場では不可欠な消耗品であり、死活問題とも言える状況になっている」と実情を語る。

こうした現状の変化を受け、マスクの次はひっ迫する医療用手袋の供給先を確保することを、自社の使命に課した。ヘルスケア商品、医療用品の卸会社として、アジア各国の生産工場と関わりを持つ人脈を駆使し、まずは7月にベトナムの医療用グローブ工場と業務提携を締結。その他、タイやマレーシアなどの工場と交渉を進めており、新たな生産ラインを新設する計画も浮上しているという。「主にアメリカやヨーロッパなどからの受注が殺到しているが、受注数は約100億箱以上、枚数にして1兆枚に上る」という膨大なニトリル手袋の生産に向け、昼夜を問わず海外の仕入れ先などとの交渉に追われている。「ニトリル手袋は手術の際には必ず必要なので、不足すると人の命に関わる。仕入れ先を開拓できる立場にある以上、当社がやらなければならない」と喫緊の課題の解消に向けた責任感を語る財部社長。必要な物を必要な場所に届ける卸会社の使命感を原動力に新たなルート開拓に挑む。