春先のムズムズ鼻は、免疫システムの暴走のせい?!【大人のイキイキ腸活通信vol21】

体の中には、常に敵の侵入に脅かされている危険地帯があ ります。そこは、命に関わる大事な場所でもあるので、24時間体制で厳しい警備体制が敷かれています。敵が侵入した時には、大乱闘に発展することも。この危険で重要な場所とは、 腸です。

腸は、体の外と内を繋ぐ入口。体内に入ろうとやってきたものが、ウイルスなどの敵なのか、栄養素などの味方なのかをまず判断し、敵であれば撃退する役割を担っています。

実働部隊は、腸管リンパ組織にいるリンパ球達です(全末梢リ ンパ球の60%が腸に集まっていますから、腸は免疫の主役 だと言われています)。

このように、腸を主役とした免疫システムによって私たち はウイルスなどから守られていますが、このシステムが暴走 してしまうことがあります。暴走状態に陥った免疫は、敵ではなく私たちの体を傷付けはじめます。この状態が、花粉症 や鼻炎などのアレルギー反応、アトピー性皮膚炎やリウマチなどです。 ということで、花粉などに反応しやすい場合は、免疫システムの暴走を抑えるための腸ケアがおすすめです。

例えば、良性菌(乳酸菌、ビフィズス菌など)や良性菌の餌となる食物繊維の摂取が、アレルギー反応の改善や予防効果を示したという報告は、沢山あります(Nutrients 2017, 9(7), 672 )。


腸内細菌は、細菌自身のDNA などから直接的に、あるいは、腸内で繊維を餌にして作る短鎖脂肪酸などを介して間接的に、免疫システムの正常化をサポートしてくれています(FrontImmunol.Published online 2019 Feb 15.) 。

また、乳酸菌や食物繊維以外で、免疫システムの正常化に欠かせないのがビタミンD。食べ物だと、魚やきのこ類に多く含まれます。ビタミンDは、紫外線にあたることで皮膚で合成することもできます。

なお、アトピー性皮膚炎の場合は、前述の腸ケアに加え、抗炎症に働くEPA 、健康な肌を作るために必要なビタミンA、B、C、亜鉛あたりも、不足しないようにしておきたいものです。


ちなみに、日本では約30%の方がアレルギー疾患に悩んでおり、世界的にも増加傾向にあります。この増加の一因として、1989 年にStrachan が提唱した衛生仮説が支持されています。この説によると、特に小児期において、多種多様な抗原や微生物に曝露する機会が減ったため、免疫システムが正常に働いていないというわけです。


新型ウイルスの流行で、衛生面には気を遣わざるを得ないこのご時世。免疫を育てるという点では難しい時でもあります。春先にムズムズする方もそうでない方も、せめて栄養面からは、今まで以上に腸に良い選択をしていきましょう!

この記事を書いた人

table project代表 分子栄養アドバイザー 
夏木彩早 
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九州大学卒業。臨床分子栄養医学研究会認定指導カウンセラー。長年のニキビや腸過敏で悩み、健康食を研究しまくった末、分子栄養学に出会う。「体調不良に邪魔されず、自分らしく生きる人」を増やすべく、2018年に起業。延べ500名に、科学的な健康食を伝えてきた。現在は、分子栄養学をベースに考案した「個人差食事メソッド」を使い、不調に悩む女性や、専門家向けの講座を運営。天神ホリスティックビューティークリニックでの栄養指導等もおこなっている。